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知財事務局・文化庁の動き
著作権者不明等の場合の裁定制度について
1.関係する著作権法

第八節 裁定による著作物の利用

(著作権者不明等の場合における著作物の利用)

第六十七条 公表された著作物又は相当期間にわたり公衆に提供され、若しくは提示されている事実が明らかである著作物は、著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託して、その裁定に係る利用方法により利用することができる。

2 前項の規定により作成した著作物の複製物には、同項の裁定に係る複製物である旨及びその裁定のあつた年月日を表示しなければならない。

(著作物の放送)

第六十八条 公表された著作物を放送しようとする放送事業者は、その著作権者に対し放送の許諾につき協議を求めたがその協議が成立せず、又はその協議をすることができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払つて、その著作物を放送することができる。

2 前項の規定により放送される著作物は、有線放送し、又は受信装置を用いて公に伝達することができる。この場合において、当該有線放送又は伝達を行う者は、第三十八条第二項及び第三項の規定の適用がある場合を除き、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

(商業用レコードへの録音等)

第六十九条 商業用レコードが最初に国内において販売され、かつ、その最初の販売の日から三年を経過した場合において、当該商業用レコードに著作権者の許諾を得て録音されている音楽の著作物を録音して他の商業用レコードを製作しようとする者は、その著作権者に対し録音又は譲渡による公衆への提供の許諾につき協議を求めたが、その協議が成立せず、又はその協議をすることができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払つて、当該録音又は譲渡による公衆への提供をすることができる。

(裁定に関する手続及び基準)

第七十条 第六十七条第一項、第六十八条第一項又は前条の裁定の申請をする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

2 前項の規定は、同項の規定により手数料を納付すべき者が国又は独立行政法人のうち業務の内容その他の事業を勘案して政令で定めるもの(第七十八条第五項及び第百七条第二項において「国等」という。)であるときは、適用しない。

3 文化庁長官は、第六十八条第一項又は前条の裁定の申請があつたときは、その旨を当該申請に係る著作権者に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。

4 文化庁長官は、第六十七条第一項、第六十八条第一項又は前条の裁定の申請があつた場合において、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、これらの裁定をしてはならない。

  • 一 著作者がその著作物の出版その他の利用を廃絶しようとしていることが明らかであるとき。
  • 二 第六十八条第一項の裁定の申請に係る著作権者がその著作物の放送の許諾を与えないことについてやむを得ない事情があるとき。

5 文化庁長官は、前項の裁定をしない処分をしようとするときは、あらかじめ申請者にその理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならないものとし、当該裁定をしない処分をしたときは、理由を付した書面をもつて申請者にその旨を通知しなければならない。

6 文化庁長官は、第六十七条第一項の裁定をしたときは、その旨を官報で告示するとともに申請者に通知し、第六十八条第一項又は前条の裁定をしたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。

7 前各項に規定するもののほか、この節に定める裁定に関し必要な事項は、政令で定める。

著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)平成十六年六月十八日改正版

2.2005年6月現在の著作権者不明等の場合の裁定制度

著作物に関して、了解を得て利用する意思があるにも関わらず、「相当な努力」を払っても、「著作権者が誰だか分からない」とか、「著作権者がどこにいるのか分からない」とか、「亡くなった著作権者の相続人が誰でどこにいるのか分からない」といった場合、文化庁長官の「裁定」を受け、「補償金の供託」を行うことにより、文化庁長官が著作権者に代わり許諾(了解)を与えることで適法にその著作物の利用ができる(著作権法第67条)。

なお以下のいずれかの著作物について裁定を申請することが可能。

  1. 著作権者の了解を得て既に「公表」されている著作物

    著作権者の了解を得て公衆向けに「出版」、「上演」、「演奏」、「上映」、「放送・有線放送」、「インターネット等での送信」、「口述」、「展示」、「貸与」などが既に行われているもの

  2. 著作権者の了解を得ているかどうか不明であるが、相当の期間にわたって世間に流布されている著作物

    相当の期間にわたり「出版」、「上演」、「演奏」、「上映」、「放送・有線放送」、「インターネット等での送信」、「口述」、「展示」、「貸与」などが行われているもの

「相当な努力」については、文化庁より「『著作権者と連絡することについて相当な努力を払う』とは、利用したい著作物の著作権者について社会的に見て常識的な方法により著作権者を捜すことをいう」との見解がでている。例としては「名前からの調査」「過去の利用者を通じた調査」「一般または関係者への協力要請」「専門家等への照会」「著作権等管理事業者等への照会」があげられている。

裁定のための手続きの流れは以下の通り

  1. 文化庁へ相談(著作権者を探す方法も相談できる)
  2. 申請書の提出(規定の様式はないが、文化庁HPに例が載っている)
  3. 裁定の可否の決定と補償金の額の決定
  4. 補償金の供託
  5. 著作物の利用

ちなみに手数料は、1件につき13,000円

3.著作権者捜し

社団法人著作権情報センター(CRIC)では著作物を利用したいが、著作権者が不明等により、著作権者に連絡することができない方のための「著作権者捜し」の広告ページをインターネット上に公開している。リンク先にとぶと現在捜索中の著作物一覧が表示される。なお、広告掲載は有料とのこと。詳しくは社団法人著作権情報センター著作権者捜し広告ページにて

参考:文化庁 著作権者不明等の場合の裁定制度

4.裁定制度に関わる動き

平成16年11月2日、文部科学省文化審議会著作分科会法制問題小委員会(第3回)において経済産業省・総務省からそれぞれ以下の意見が提出された。

【経済産業省】

意見の要旨

著作物の利用を促進するために、裁定制度について著作隣接権のかかる裁定制度の導入などを含めた著作権法の改正と、現行制度の利用促進のための環境整備と行うべきであると考える

意見の詳細

高度情報通信社会において国民が利便を享受するためには、多種多様なコンテンツが様々なメディアに供給されることが必要であり、公表された著作物の円滑な利用はその有力な方策の一つである。

公表された著作物の円滑な利用許諾に資する制度として裁定制度が設けられているが、関係団体より意見表明があったことからも、本制度が広く利用されているとは言い難い状況にあり、より利用しやすい制度とするための制度設計を検討すべき。

1.著作隣接権に係る裁定制度

現行裁定制度は著作権を対象とし、著作隣接権は対象外である。公表後長期間経過した著作物についてその著作権が処理されたとしても、当該著作物に出演する俳優等実演家の著作隣接権の録音権及び録画権の処理がなければ、当該著作物の別メディアでの利用が不可能になる場合がある。映画の著作物については、当該映画への出演を約することで録音権及び録画権の処理がなされたものと解されるが、放送番組をはじめとする他の著作物の場合はこれが妥当しない。

著作物の円滑な利用促進のため、裁定の対象を著作隣接権にも拡充する必要がある。

2.現行裁定制度の利用促進

現行の裁定制度において、裁定を受けるためには「相当な努力(解説書によれば、新聞・雑誌上の広告その他一般からの協力を求める等)」が要件となっている。この要件が文言上曖昧であるとともに、要求を満たすには相当な時間と費用を要することが予測される。こうした時間及び費用は、公共の図書館や博物館等の業務においては許容し得るとしても、消長の激しいコンテンツビジネスにおいては大きな負担となり、結局はビジネスそのものを中止せざるを得ない場面も生じ得る。

アーカイブやデータベースなど一定レベルの網羅性をもってコンテンツを品揃えする必要のある事業をはじめとするコンテンツビジネスや、過去わが国において蓄積された多種多様なコンテンツを再利用するビジネスの活性化は、著作物利用の圧倒的拡大に資するものであり、そのためには、現行裁定制度の要件の明確化や手続きの迅速化が必要である。

【総務省】

意見の要旨

著作権者が不明なコンテンツについては、著作権法67条による裁定制度に基づき、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当する補償金を供託することで著作物の利用が可能となっているが、「相当の努力」の負担が重いため、弾力化をはかるべき。

意見の詳細

(改正内容)著作権法67条による裁定制度における「相当の努力」について、特定のウェブサイトでの相当期間の掲示を認めるなど弾力的な運用の実現。

(問題の所在)著作権者が不明なコンテンツの利用のための著作権法67条の「相当の努力」については、綿密な調査の上、新聞・雑誌などに広告するなど、厳格に解されており、利用が困難であることについて、情報通信審議会インターネット利用高度化委員会第3次中間答申(平成15年7月)(注)において指摘されているところ。

(法改正の必要性) 昨今のインターネットの急速な普及を踏まえ、特定のウェブサイトで相当期間の広告を行えば67条の要件を満たすといった柔軟な考え方を取り、コンテンツの利用拡大を図るべきであるとの考え方が、情報通信審議会インターネット利用高度化委員会において検討されたところ。

なお上記の件に関しては現在検討中とのこと(特定のウェブサイト=社団法人著作権情報センター著作権者捜し広告ページ であると思われる)

参考:文部科学省 文化審議会著作分科会法制問題小委員会(第3回)議事録「資料3 著作権法改正要望事項に対する各府省の意見について

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